2014年12月31日水曜日

無料配布している紙芝居です!

7月25日
お話をもっと短くして、きちんとした紙芝居を作ることになりました。
もちろん自主出版です!
なので、著作権を守ることにしました。といっても、印刷してくれる方がいるならば、今までどおり勝手に印刷してくださいませ。拡散していただけたら大変助かります。

いつもありがとうございます!

6月22日:PDFファイルを張り替えたのですが、クリックでは表示ができませんでした。
アドレスをコピーして、アドレスバーに貼り付けて移動で表示されます。
ヤフージオシティーズの使い方がよく分からなくて^^;お手数お掛けいたします。
よろしくお願い致します。
5月18日:文章を直しました。

私個人的な感想ですが、とっても良くなったと思います^^v
私の中でモヤモヤしていた部分が、スパッと指摘され、直してもらい、それを見てあらためて考え直し、すっきりさっぱりな気分です♪
協力してくれているお友達、本当にありがと~~~~ぅ。感謝しています^^


たつたろうの一生
 おばた くみこ作・画

はじまり、はじまりぃ~~~。




昔々、あるところに、海も山もある小さな村がありました。

その村の海沿いには、原子力発電所が建っていました。そこでは原子炉という機械を使って電気を作り、その電気を(みやこ)に送ることで、電力会社からお金納めてもらい、村は栄えていました。

今ではなにごともなかったように暮らしていますが、発電所ができるまでは、原子力発電に対して賛成と反対とで村が二つにわかれていました。

「もう、建物ができちまったんだから反対してもしょうがないべ」と、反対していた人たちもあきらめてしまい、ほとんどの村人は原子力発電所で働き始めました。

そうして原子力発電所に反対している人は、ほんの数人になってしました。


 

この村に住む、晴男と千代は山の中でお野菜を作って、ひっそりと暮らしていました。二人は雨の日も雪の日も毎日、お地蔵様のところへ行っていました。
晴れの日はお地蔵様をぴかぴかにみがき、着物をかえ、食べものと水をそなえ、雨の日はお地蔵様にカッパを着せました。

「毎日なにごともなく過ごすことができてありがたいなぁ~。」これが晴男のくちぐせでした。
欲も見栄もない晴男と千代には、二つの願いがありました。一つは子どもにめぐまれますように。そしてもう一つは原子力発電所が止まりますようにと。
ある晩、千代は「お前たちに子どもを預けよう。その子は使命を持っているぞ!しっかり育てあげ、2年たったら独り立ちをさせるように。」という声で、目を覚ましました。

千代は晴男に「変な声を聞いたの、子どもを預けるからしっかり育てろと、だけど二歳で独り立ちさせよというのよ。」と笑いながら話しました。



 

ところがなんとその日から、千代のおなかはみるみる大きくなり、あっという間に元気な男の子がうまれました二人はその子に「たつたろう」と名づけました。

あっという間にうまれてきた、たつたろうは、とても成長が早く、1年で10年分歳をとる変わった子だったのです。

自然の環境を壊さないように丁寧に生活する、晴男と千代の姿を見ながら育ったたつたろうは、原子力発電というものに疑問を感じるようになりました。

半年たち五歳になったたつたろうは、村のおとなたちに「原子力って安全なの?電気ってそんなにたくさんに必要なの?」と問いかけるようになりました。
そんなたつたろうのことを、いつしか村人たちは「原発(げんぱつ)(だつ)たろう」とおもしろがるようになりました。






村の子どもたちも「原発(げんぱつ)(だつ)ったろー」と、たつたろうをばかにします。

それでもたつたろうは、一人ひとり丁寧に、
「きみは山や野原でかけっこしたり、海でおよいだりするの大好きでしょ?原子力発電所は、元気な体でいるために欠かせない細胞やその中の遺伝子に傷をつける、放射性物質というものを、この空に、この海に少しずつ、少しずつ捨てているんだよ。知っていたかい?
だからこの空気にも放射性物質が混ざっているんだよ。
このままつづけたら外で遊ぶことも、海でおよぐこともできなくなるかもしれないし、畑でとれた野菜や海でとれた魚に放射性物質が入ってしまって、食べると、きみの体に傷をつけてしまい、病気になるかもしれないよ。

きみが病気にならなくても、きみの子どもが病気で生まれてくることがあるかもしれないんだよ。それでもいいと思うかい?」と話しました。  

 

1年がたち、たつたろうは十歳になりました。
たつたろうは原子力についてたくさん勉強し、一生懸命、村人たちに問いかけつづけました。
「原子力発電所で電気を作ると、近づいた人がすぐに死んでしまうような危険な核のゴミが、できることを知っていますか?
そのゴミは何十万年も管理し続けなくてはならないので、まだ生まれてもいない未来の子どもたちに、残していくことになります。考えてみてください。未来の人々にこの場所に危険な核のゴミがあることを、伝えつづけていけると思いますか?」
村人の多くが「そのうち危険じゃないゴミにする方法がみつかるさ」といいます。
「今、まだできないのだから、今は原子力発電をやめるべきだと僕は思います。このまま原子力発電をつづければ、危険な核のゴミは増えつづけ、保管する場所がたりなくなりますよ。」
晴男と千代は、懸命に村人に問いかける、たつたろうの立派な姿に、独り立ちさせるまでの残り1年を、大切にしようと誓いました。 






そして、ついに約束の2年がたち、たつたろうは二十歳になりました。
晴男と千代は迷うことなく、たつたろうを独り立ちさせました。

独り暮らしをはじめた、たつたろうのところへ、電力会社の人がたずねてきました。
「親元をはなれていろいろお金が必要だろう。受けとってくれ。」と、たつたろうが見たこともない、たくさんのお金を出しました。

「こっ、このお金は誰のお金ですか?村の人たちのですか?それとも都に住む人たちのですか?僕は頂戴できません。僕が必要なのはお金ではありません。僕に必要なものは、汚れていない空気や、大地や、水、そしてそれらが育ててくれた食べものです。たくさんのお金は、僕には必要ありません。」






半年がすぎ、二十五歳になったたつたろうのところに、また電力会社の人がやってきました。
「家を建てたんだが、そこに住まないか?必要なものは買ってあげよう。」と、大きな家に案内されました。
たつたろうは、「雨風をしのげる小屋があれば、僕はじゅうぶんです。あなたは本当に大切なものが何なのか、わからないのですか?」
「本当に大切なもの?それはお金に決まっているだろう。いい家に住み、いい服を着て、いいものを食べ、お金をたくさん使って楽しく遊ぶ。お金がなくちゃできないだろう?」
「体が元気じゃなければ、いくらお金があっても、楽しくありません。お金よりも大切なのは、元気な体だとは思いませんか?いったいこの家は誰のお金で建てたのですか?みんなが懸命に働いて納めたお金ですよね?もうこれ以上、無駄に使わないで下さい。お願いします。」といいました。
すると電力会社の人は、「お前の作った野菜など誰も買わなくしてやるからな!金がないということがどんなに辛いことか、金の大切さを思い知らせてやる。」と怒って帰ってしまいましたってきました。






次の日から、たつたろうの作った野菜を買ってくれる人は、原子力発電所に反対している数人の仲間だけになりました。

電力会社の人は野菜が売れなくなれば、たつたろうも発電所で働き、原子力発電に反対しなくなるだろうと考えていました。

野菜が売れなくて困っているたつたろうのところに、今まできたことのない、お客さんがやってくるようになりました。
その人たちは皆、「原子力発電に賛成したら、高い値段で野菜を買うよ。」と、いいますが、
「僕の気持ちはかわりませんし、必要以上のお金を頂戴するわけにはいきません。」と、断りつづけました。



 

また半年がたち、三十歳になったたつたろうは、自分が食べるだけの野菜を作り、細々と暮らしていました。生活は苦しかったけれど、くじけることなく、村人たちに問いつづけました。

この日も何人かの村人に「あなたは原子力発電所に賛成ですか?僕は反対しています。」と、問いかけていました。すると一人の女性が答えてくれました。
「私は、原子力発電が安全だとは思わないけれど、私が何かをしても何も変わらないと思うの。だって、たつたろうさんは3年間がんばっているけど、何一つ変わらないでしょ。」
「少しずつ、本当に少しずつですが、変わってきていると僕は信じています。
どちらかといえば反対なのに、反対だと示さないことは、賛成していることと同ことですよ。あなたは賛成ということでいいですか?」
「・・・・・・う~~ん。どちらかといえば・・・どちらかといえば反対です。」
「ありがとう!何かできることを考えて行動していただけると嬉しいです。」

 

数日後、たつたろうのところへ都から、野菜をたくさん届けて欲しいという手紙が届きました。
たつたろうは、また野菜をたくさん育て、必要なだけ、お金を稼ぐことが出来るようになります。(なぜ、都の人が野菜を買ってくれるのだろう?)と不思議に思っていると、数日前の女性がやってきました。

「私にできることを探したのです。そして、都に住む何人かの友人に、たつたろうさんの作るお野菜は、農薬や化学肥料を使わずに育てていて、とても美味しいと話をしたのです。そうしたら、そのうちの一人が、たつたろうさんに手紙を出したと言うので、今日、ここにきてみました。」と、とても満足そうに、話をしてくれました。
「ありがとう。ありがとう。」と、たつたろうは涙を流しながら何度も女性にお礼をいいました。また自分の育てた野菜食べてもらえることも嬉しいのですが、女性が自ら考え、行動してくれたことが、とっても嬉しくて嬉しくて、押さえられない気持ちになったのです。







たつたろうは1年で10年分歳をとります。
あと、どのくらい生きることができるのか?焦る気持ちから、今まで以上に力を込めて語るようになりました。

4年たち、5年たち、6年たち、たつたろうはただただ
村人たちに問いかけつづけました。
「あなたは原子力発電所に賛成ですか?反対ですか?
原子力発電によって、増えつづける危険な核のゴミの片付けを、ずっとずっと先の未来の子どもたちにまで残すことについて、あなたはどう考えますか?
原子力発電が抱える問題は、この村だけではなく、地球全体の問題です。
地球に住む私たちは、この問題から目を背けることはできません。
お願いします。ちゃんと向き合ってください!未来の子どもたちのために
お願いします。」 と。








ついに、たつたろうが誕生してから10年がたち、百歳になりました。
気がつけば、たつたろうは世界中にたくさんの仲間ができていました。
村人たちも、たつたろうの熱心な問いかけによって、いつしか未来のことを考えるようになっていました。
原子力発電が止まることはなかったけれど、やりきった達成感がありました。

数ヵ月後、晴男と千代、そしてたくさんの仲間、村人に見送られ、たつたろうは安らかな気持ちで、この世を去りました。

更に数年がたち、たつたろうをばかにしていた子どもたちも大人になり、子どもを持つようになりました。そして、真剣に考え始めたのです。

村人たちはみんなで話し合いました。
電力会社のえらい人と村に気がつかれないように、こっそりと

 




そして、ついにみんな揃って「原子力発電所をとめてください!とめないのならば、僕たちは電力会社を辞めます。」と村長に話しました。
「おいおい。冗談だろう?この村はあんたらと電力会社が納めた金で、成り立っているんだぞ。村が潰れてもいいってことか?それにあんたらどうやって生活するんだ!」
「僕たちはみんなで話し合いました。自分達の利益だけのために、危険な核のゴミを、これ以上増やすことはできません。地球を守らなくてはいけないんです。それが大人の使命です。間違いに気がついたからには、正さなくてはなりません。」
「本気なのか?あんたらがやめたら原子力発電所は誰が管理するんだよ!」
「原子力発電所をとめても原子炉や、今ある核のゴミは責任を持って管理しつづけなければなりません。何万年も、何十万年も。原子力発電をとめるのならば、僕たちも原子炉を管理しつづけます。」
「みんなで助け合えば、きっと大丈夫ですよ!」  
「原子力をやめたらこの村はどうなるんだ~。助けてくれ。辞めるなんて言わないでくれ。お願いだ~ぁ~」  
 





その後、村人たちの変わらない強い想いによって、この村は原子力発電を終わらせました。
そして、新しい方法で電気を作り、都に送っています。
もちろん原子炉や核のゴミの管理もつづいています。
世界中からの支援を受けながら、危険な核のゴミを安全なゴミにする研究にも、前向きに取り組んでいます。

都で暮らしている人たちも、エネルギーをたくさん使わない暮らし方を、一生懸命考えてくれています。
心が豊かになる暮らしを求めて、この村に引っ越してくる人も増えました。

こうして小さな村の住人は、たつたろうの生き方にならい、見栄もなく、欲もなく、互いを認め合い、そして助け合い、感謝の心に包まれながら、幸せに暮しましたとさ。







この物語を両面印刷して、中綴じすると冊子にできます。
http://www.geocities.jp/jany1dory1max/tatutarounoisshou.pdf
印刷して配ってもいいよ!と言う優しい方がいましたら、ぜひお願い致します。

最後までお読み頂きありがとうございました。最大の感謝を送ります。


子どもたちの未来の為に、私たちの惑星「地球」の為に、ずっと続く命の為に!私は諦めません!!

2 件のコメント:

  1. 伊那市に住みます高橋と言います。
    冊子を作ってみようと思います。
    私も出来ることを一生懸命考えてみます。

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  2. 高橋様

    おばたです^^
    コメントありがとうございます!

    できることを考えてくれる。それだけで本当に嬉しいです。
    ありがとうございます!

    家プリンターでの冊子(両面印刷)の作り方を、載せたいのですが、ちょっと忙しくて・・・・^^;ただのいい訳ですが。。。

    今夜か明日にでも、作り方を載せますね!

    1冊でも2冊でも、作ってくれたら、それだけで十分です!無理はなさらないでくださいね!

    本気で嬉しいです!本当に本当にありがとうございます(涙)

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